スタジオでの撮影で、忘れてはならないのがスタジオの電気容量チェックです。照明機材をはじめ、電力を要する様々な機材を使用します。ところが、容量以上の電力を消費する機材を使用すると、ブレーカーが落ちたり、機材が故障したりする原因になります。そこで今回は撮影に関する電力のあれこれをご紹介します。
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スチール撮影、ムービー撮影のどちらでも、スタジオ撮影ではストロボなどの照明機材やパソコン、モニターなどを使用するために電力が欠かせません。あらゆる撮影スタジオやハウススタジオには、電力供給するための給電設備が備わっていますが、気を付けたいのは使用する機材に応じた電力を確保できるかどうか。
白ホリスタジオなど撮影スタジオでは、100V、200Vの電源を確保している場合が多いです。一方、ハウススタジオでは居住用マンションなどの給電設備をそのまま利用している場合が多く、電気容量が60A以下というところもあります。
しかも一つのブレーカーで同時に使える電力には上限があります。一般的なコンセントで流せるアンペア数は15Aまで。家庭用の電圧は100Vなので、一つのコンセントで使える電力は合計1500Wが上限となります。複数の機材を繋ぐと、各コンセントの回路と機材類の消費電力がオーバーしてしまい、使用する撮影機材によっては電力が足らないという事態にもなりかねません。結果的に、ひとつの回路で使える電気の上限を超えてしまいブレーカーが落ちてしまいます。そんな事態にならないためにも、スタジオ選びの際には電気容量を必ず確認することが大切です。それと同時に、コンセントの位置や延長コードの有無は事前にチェックしておきましょう。
上記でも述べたように、電力を過度に使用した場合や一つのコンセントに集中して電気を使った場合はブレーカーが落ちてしまう恐れがあります。ブレーカーが落ちると、電流が遮断されるので、スタジオの照明が消えてしまうだけでなく、使用中の機器にも電力が供給されず機器がストップしてしまいます。
こうした停電状態をトリップといいますが、最も多い原因は電気機器の同時使用による過電流です。そもそもブレーカーは、アンペアブレーカー、漏電ブレーカー、安全ブレーカーの順番に並んでいて、それぞれが違う役割をもっています。その中でもアンペアブレーカーは、規定以上の電気が流れると電気回路を遮断する仕組みになっているのです。
またアンペア数を超過していない場合でも、一カ所に多くの電流が流れると安全ブレーカーが作動することがあります。これは、一つの回路に負荷が集中するのを避けるため。安全ブレーカーによって配線の破損や火災事故を防止しているのです。
撮影中にブレーカーのトリップが起こることのないよう、スタジオの電気容量を確認することが大切です。スタジオのホームページにも記載されているのでぜひチェックしてみてください。公表していない場合は、電話やメールで問い合わせるか、ロケハンの際に確認してみるとよいでしょう。
この他、スタジオの電力容量だけでなく、HMIライトや大型扇風機を持ち込みで使用する場合は、それらの消費電力も把握しておきましょう。通常のストロボを使用する場合でも確認用のパソコンは、別回路のコンセントの電源を使うなど、1つのコンセントに集中しないよう気を付けることもおすすめします。
A、V、Wは電力を見分けるうえで欠かせない記号です。ハウススタジオ・撮影スタジオの電力の表示にはA・Vという文字が登場しますし、ストロボの出力を表すのにWが表示されています。Aはアンペア、Vはボルト、Wはワットを意味しますが、それぞれの特徴についてご紹介します。
スタジオの電力の表示には「〇〇V」と記載されているのをよく見かけます。これは電気を押し出す力、つまり電圧を表す単位のボルトを意味します。Vの数字が大きくなるほど、多くの電気が流れます。住居用マンションなど、一般家庭のボルト数は100Vが主流です。撮影スタジオでは、ストロボなどに対応するため200Vを使用している場所もあります。
60A、100A、200Aなどと表示されているAとは、アンペアを意味します。アンペアは電気の流れる量、つまり電流を表す単位です。どのくらいの電気が流れているのかを表し、スタジオと電力会社との契約によってアンペア数も変わります。
Wは照明機材など電気を使用する機器に表示されています。これは1秒間当たりに消費される電気エネルギー、つまり消費電力を表す単位でワットといいます。Wの数値が大きければ大きいほど、その機器は消費電力を必要とすることを意味します。
ハウススタジオや撮影スタジオ探す際に、電力やコンセントを確かめることで十分であるかどうかを判断することがポイント。たくさんの照明機材を使用したくても使えないというときには、他のスタジオを検討してみてもよいでしょう。
スタジオでの電力が不十分だからといって、電気設備を操作するのは禁物です。スタジオによっては以下の行為を禁止しています。
●ブレーカーから直接電源を引く●発電機をスタジオやスタジオ敷地内に置く●ゼネ車(電源車)を使用する
スタジオのホームページや利用規約に明記していなくても、勝手に判断して発電機器の持ち込みなどをしないよう要注意。どうしても利用したい場合は、スタジオに相談したうえで持ち込むのがマナーです。また、スタジオに許可を得てブレーカーからの配線を行う場合でも、配線作業をできるのは電気工事士の有資格者でなければできません。一歩間違うと事故や火災の原因にもなるので、安全性を最優先しましょう。
最近は100W前後の消費電力でタングステンライト500~650Wと同等の出力をもつLEDライトもあり、定常光ライトでも十分な光量、光質を確保できます。用途やスタジオのシチュエーションに合わせて、ブレーカーのトリップを防ぐためにそうした省エネ機材を取り入れるのも一つの方法です。
今回はハウススタジオや撮影スタジオでの電力に関する基礎のきそをご紹介しました。大切なのは、スタジオの電気容量を確認すること。
電気が流れる量を表すA(アンペア)、電圧を表すV(ボルト)、消費電力を表すW(ワット)を見て、撮影で使用する照明機材などが使えるかどうかを判断することがポイントです。ブレーカーのトリップや機材の故障、火災事故などを防ぐためにも、容量以上の電力を消費することのないように対策を立てて、撮影に臨みましょう。
ハウスタ.comではマンションの一室を利用したコスパの良いハウススタジオから、大規模撮影に対応した撮影スタジオまで幅広く掲載しています。それぞれの紹介ページにある基本情報には、電力容量を記載しているスタジオもあるので、スタジオ選びの参考にお役立てください。
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